2011年4月26日火曜日

震災の復興財源をどうするのか 民主党執行部は消費税増税に傾く(J-CASTニュース) - エキサイトニュース

震災の復興財源をどうするのか 民主党執行部は消費税増税に傾く(J-CASTニュース) - エキサイトニュース

 震災の復興にはおそらく20兆円規模の、真水ベースの財源が必要であろう。それをどのようにまかなうか。
国債による場合、ソブリン危機の原因になるという見解が声高く主張されている。本当にそうか。
第一に復興事業のほとんどは公共事業である。しかも用地買収・収用など乗数効果をこの間引き下げてきた
要素は少なくであろうし、まだ相当人力に頼る部分はある。工場にしても新設されるものは従来型にくらべ
高生産性になると思われる。だから政界が箇所付けの影響力をねらっているわけだが閑話休題。
国債の発行が限度かどうかは対外純債務で考えなければならない。いくら資本の移動が自由な現代であっても
国内の「金融庁の厳しい検査に耐えなければならない」邦銀が国債を放出するわけもない。事実家計の貯金部門は
社会保障の見直しに恐怖して積み上がっている。これがたとえば政府の年金政策に失望しHOT MONEY
となったらバブルの再現である。そしてこれは低金利、デフレのもとでおこり、特に成長産業が見当たらないのであるから
退治にはかなり苦労が伴うだろう。金利をあげれば必要な産業が窒息し、下げれば投機マネーがふえる。
国際比較を考えるなら、国債残高より所得再分配機能の麻痺である。また国民負担率の「低さ」である。
いまや国際比較では我が国は米国と並んで「低負担、低福祉」の国となっている。
この意味することは震災復興にとっても大きい。社会保障が限定的であれば、被災者は思いきって新しいチャレンジ
に踏み出せないであろう。では被災者に限って施策を実施するとしたらどうだろう。これに伴う認定業務ははたして公平
妥当に行うことができるであろうか。大きな不満と不公平感で被災者の活力をうばうであろう。またここ当分は被災者支援
ビジネスも必要であろう。(いくら大きい政府を主張してもそれはむり。奇妙な道徳観はとりあえず横におこう)
財源論ではあいもかわらず「消費税」が基軸のようだ。しかし「所得税はたとえ10%あげても財政効果が限られている」
そうだ。しかしこれを税制の税制の専門家がやったとしたら噴飯ものだろう。累進性の活用に着目していないからだ。
法人税の徴税基盤が貧弱というなら、外形課税やトービン税でも導入してはどうか。社会保険については保険料の見直し
だろう。

「原発は安全だと聞かされてきた…」危険隠蔽にゴルバチョフ氏憤り 旧ソ連機密文書 +(2/2ページ) - MSN産経ニュース

「原発は安全だと聞かされてきた…」危険隠蔽にゴルバチョフ氏憤り 旧ソ連機密文書 +(2/2ページ) - MSN産経ニュース

原子力発電に関しては旧東、西(福島原発の一部は米国製、PLどうする)をとはず類似の状況があるということか。
おそらく今回も現場ー東電ー経産省ー官邸と情報が流れるにしたがい変容した可能性がある
重要情報を告知することを遅延せしめた者、改ざんしたもの、通報を懈怠したものは刑事訴追を検討すべきであろう。
特捜の必要性が国民に認められるのはこのときだ。恥をそそぐべきであろう。
勿論焦眉の課題は安定化であるが、記録が改ざんされることを防ぐため直ちにすべての記録の保全を義務化する特別法が
必要だろう。旧ソ連やホワイトハウスでもあることではないか。
一方ある種の「被爆者援護法」と作業者に対する、自衛隊員をも対象にする、職業癌の長期モニタリングおよび医療確保、
また一定の被曝量が推定される住民も長期疫学調査が必要だろう。
その財源は現在の電源立地交付金を「減額」し、電力会社各社がー負担区分はともかくー連帯して払うべきである。それは現行制度
では包括原価として電力料金を通じて国民負担になるのであるが、原発の重みを分かち合うためには必要であろう。
この
事故でも米国の証券危機と同様、多額の報酬を得た元企業幹部は勝ち逃げ負担は国民にという「モラルハザード」はいきている。



2011年4月20日水曜日

学生、院生入学おめでとう、進級おめでとう

学科集会挨拶要旨
  1. 現在は世界史の大転換期である可能性あり。米国のサブプライムローンの破綻と証券危機
欧州のソブリン危機そして日本の震災。世界の三極構造が破綻する予兆か?長期にわたる
先進国の低金利が期待利子率の反映

新学期が始まる

2011年4月19日火曜日

ブログエントリー - ブログ引用サービス - MSN産経ニュース

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先般来議論しているように、このアイデアは馬鹿げている。消費税の導入時点 「直間比率の見直し」、「フローだけでなくストックへ課税」
「逆進性への考慮」「益税」などが議論された。これらに対し結論は出ていない。さらに所得税率の10%アップの前提は「ベタ」にアップということ。所得税の所得再分配機能について全く考慮されていない。
必要なのは改正前の累進課税率にまず戻す試算をやるべき。さらにそれをどのように上げるかを試算すべき。法人税については国内空洞化の話は「ネタ」以上ではない。企業が外国に出るのは労賃と関税・非関税障壁、マーケットに起因するもの。欧州企業が米国に続々逃避しているとでも考えているのか。ケイマン諸島にでも行くと考えているのか。社会保障費の高騰については社会保険の我が国では
保険料率の適正化が課題であって、3号被保険者の遺族受給権についての議論は聞こえてこない。つまりこのアイデアは使い古された表現で、いやないいかただが「弱者いじめ」に他ならない。
ゼミ生諸君明日のゼミではこれを議論しようぜ。

2011年4月5日火曜日

2011年度がはじまる

4月、新年度が始まる。授業は14日から。なぜ他のいくつかの大学のように5月まで待たないのか、という声があるらしい。大学の当局でもないのに何事かを私が述べるのは変である。それを承知で語ると、上智大学の学生のほとんどは首都圏である。残念だが全国区とはいいがたい。留学生諸君は韓国や中国から多いけれど東京とソウルは航空機でいえば指呼の間である。東京一局集中に乗っかっているのはよくないのかもしれないが。しかしフランスにおけるパリの例もある。ドイツは全く違うが。
我が国には東京のほかに西に商都がある。そこの首長さんは誠に商業資本原理主義をおっしゃしゃっている。全国的に都道府県庁のある市とはうまくゆかないというのは、国であれ、都道府県であれ、
または市町村であれ「幻想の共同体」だとみれば、幻想の自意識がバブルをおこしてぶつかり合っているのだろう。よってなまじ市にして置くより特別区制度で分散統治をめざす、というのはわかったような理屈か。だからといって、東の都の首長候補が特別品位があるとも言い難いが。時節柄北の都を
応援しておこうか。

授業開始に先立ち、学科別・学年別の集会をやった。いろいろしゃべった。いいたかったことを、補足まじえてーというよりしゃべらなかったことが8割だが、書くとこういうことだ。
  1. 現在は世界にとっても一つの屈曲点かもしれない。三局世界といわれたここ半世紀弱であったが、まず、かつて圧倒的存在感のあった米露のうち、露がこけた。次には米が国家社会ぐるみの金融賭博でこけた。欧州はなまじEUを作ってしまったからソブリン危機が拡散している(RTじゃないよ、もっともRTは私のイニシャルだが。)。そして我が祖国日本。
  2.  私は地域も、国も短距離レースをしているのではなくリレーをしているのだとおもう。人類社会は私のおぼつかない記憶では、黄河・インダス・ナイル・チグリスユーフラテスで文明がめばえ、いろいろあって15世紀末のイタリア、大航海時代、大陸ヨーロッパ、イギリス、アメリカ西海岸から東海岸そして日本韓国。そして中国。インド、中近東。つまり世界文明の2週目が始まりつつあるのではないか。(年初来日したジャックアタリの着想にヒントを得ている。)。90年代プレジデント社刊のの「融合革新」(澤登編)にあらたな千年紀(ミレニアム)と題して書いたこともある。まだほとんどの人は世紀単位で物言いをしていたが。
  3.  実は学科学部の同僚の皆さんにおわびをいい、反省しなければならない事がある。勿論たくさんあるのだがー嗚呼。昨年末の紀要に「大転換の時代に社会保障は生き延びれるか」という時論まがいの物を寄稿すると約束して果たせなっかたのである。話はこうである。私の大学・教室の先輩で最近までーつまり民主党が政権をとる以前に長期にわたって社会労働委員会・厚生労働委員会に重きをなし、シャドウキャビネット厚生労働大臣の五島正期さんが「おい高原、社会保障に逆風が吹いているのではないかといわれたのがきっかけである。(同門の先輩とは、岡山大学医学部衛生学教室大平・青山両名誉教授時代の兄弟子弟弟子関係。私はその教室の博士課程単位取得満期退学という医学ではあり得ない経歴をたどった。責任を転嫁すると、これは旧厚生省の大先輩から、本省で学位を取ったというと窓際族と思われ出世しないぞいわれて、のんびりしていたら提出期限におくれ、せかされて誰が審査をするのですかと憎まれ口をたたいてアウトということである。したがってテキサス大学の修士論文以外は雑文がほとんどである。)。
  4.  話はこうである。社会保障の淵源であるイギリスの救貧法・工場法・衛生改革からの流れはNHSなどで実を結んだが、大英帝国の果実に甘んじ改革・革新をおこなわず市場主義改革に道をゆずった。社会保険の祖国といわれているドイツは介護保険は導入されたが拡大基調とはいえない。総じて欧州はECを形成し、しかも加盟国が増大するなかで、均霑化がやっとではないか。比較的充実していた南欧もIMF基準を押しつけられどのあたりで踏みとどまるか微妙であろう。米国は民主党政権となり医療保険に熱意をもつクリントン夫人が起用されているが議会もねじれ、次期政権に向けてリベラル路線で持つのか。次の走者BRICsはまだ社会保障は限定的に考えられるのみであろう。これらの事態が起こったのは社会主義が崩壊したという要素も大きい。